2016-08-30 01:53 — asano
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先日のPC-8201を分解してみました。
これは電池パックを開けたところ、ここまでは工具は不要、というか電池交換のため誰でも開けるところですね。
電池は単3形が4本で6V、100mA程度なら確かに乾電池でもOKです。
上に見えている基板はコネクタを支えて端子と接続しているだけです。ですが何やら抵抗を付けるパターンとかもあります。たしかオプションでNiCd電池パックも商品化されていたと思うので、それと共通なのかもしれません。二次電池の場合は充電の必要がありますので、抵抗は充電電流の制限用か本体側で充電制御を行うための電池種類の識別用なのでしょう。
メモリ拡張ソケットのカバーを開けたところです。
ROM0のところにはROMが挿さっています。「N 82 BASIC」と書かれていることから標準搭載のものです。交換可能にしてあるということは、万一の場合を想定したのでしょうか。容量は256kbit(=32kB)です。隣のROM1のところに(おそらく同じ容量のものが)増設可能です。
RAMは0,1がなくて2~7までが並んでいます。PC-8201は標準のRAM容量が16kBで、48kBまで増設して合計64kBに出来るはずなので、1つ8kBのメモリを2つ内部に実装していて、ここに残り6つ増設できると言うことだと思われます。ちょっと気になるのは隣のROMソケットと比べてRAMソケットの幅が広いような感じなんですよね。
裏のネジ4本外すと本体が2枚に分かれます。線が繋がっているので開けるときは気を付けましょう。
メイン基板を見て驚くのは表面実装部品がほとんど無いこと、時代を考えれば当然と言えば当然なんですが、昔はハンドヘルド機器でもDIPで作っていたんです。
それとロジックIC群が40Hxxxシリーズなのも時代ですね。このシリーズ型番は「40」ですが、xxxの部分は「74」シリーズの番号なので注意が必要です。
右上のコネクタで他から分離されている部分が電源です。この基板は電池パックの分だけ持ち上がっています。電池パックのコネクタCN-8は配置の関係か電源基板ではなくメイン基板側に実装されています。
右下に「NEC」ロゴのICがいますが、μPD1990ACでPC-8001から使われているRTCです。
写真中央下には裏側にソケットが実装されたエリアがありますね。右からROM0,ROM1,RAM7~RAM2と並んでいますが、その左側に表面実装のICが見えています。写真ではよく読めませんが「HM6117LFP-4」、2kBのSRAMです。これが2つずつ紫色の子基板のようなものに載っているように見えますが、おそらく裏側にも2つ実装されていて、8kBのRAMを構成しているのだと思います。このモジュール2つで標準搭載の16kBで、同じものを6つまで裏側のソケットに増設できるのでしょう。
左上の大きなコネクタCN-5には「ROM/RAM CASSETTE」と書かれていますね。上に載っている水色の円盤は圧電ブザー、その右上にはカセットインターフェイス用のリレーも見えます。
CN-5の右にある40ピンDIPはMSM80C85ARS、前に紹介した8085のCMOS版です。パソコンで8085を使っているのは珍しいです。
その右上のちょっとツルっとしたD3-6402C-9はUART(非同期シリアルの石)ですね。今UARTというとCPUバスに接続するのが当然ですが、昔はそうでないものもありました。この石もその一つで、送信用データポートが8ビットに受信データポートも8ビット、ステータスレジスタの代わりに各ステータスがそれぞれ独立ピンで出ていると言った調子で、40ピンICでも1チャンネルのみです。
その上のMSM81C55RSは256バイトのRAMとPIOとカウンタ・タイマを集積したもので、これも普通はパソコンに使うようなデバイスではないのですが...
と言ったようにデバイスの選択に疑問を感じる点の多い構成です。その理由を想像するとこんなことではないでしょうか。
1980年代前半だとまだコンピュータのような高速回路はNMOS+TTLで、遅くてよいから消費電力を下げたいものはCMOSと使い分けられていて、やっとCMOSでも高速なデバイスが登場し始めた頃です。電池駆動を考えるとたとえ使いにくくてもCMOSで入手できるデバイスで何とか設計したのでしょう。
上側はLCDユニットです。IC類は全て日立製ですし、なんとなく日立のLCDモジュールに作りが似ています。もしかしてユニットで買っていたのでしょうか?
ところで変なことに気付きませんか? M6~M10はHD44102BHとマーキングがあります。M1~M5はデバイスにマーキングはありませんが、シルクにはHD44102とあります。よくみると1ピンの位置もおかしいし、ピン番号増加の方向も変ですよね。
M1~M5は基板に角穴をあけて裏返しに実装しているみたいなんです。きっと裏面はLCDパネルとの関係で実装できないのでしょう。かといって180°回転したらLCDへの配線をクロスさせるか、LEDの上半分と下半分で横方向の座標を逆にしないといけなってしまいます。
下側はキーボード、やたらとダイオードの記号が目立ちますが全キーに入っていて複数キーの同時押しにちゃんと対応しているのでしょうか。PC-8001等はSHIFTなどにしかダイオードは入っていなくて、例えば「 」(スペース)と「,」(カンマ)「.」(ピリオド)を同時に押すと「F5」が入力されたりしました。
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