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BASIC内蔵マイコン


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先日のINS8073はBASICインタプリタを内蔵していましたが、似たようなものは他にもいくつかありました。

  1. NS INS8073
    CPUはSC/MP IIIでROMは2.5kBです。内蔵RAMだけでは不足なので最低256バイト以上のRAMを外付けする必要があります。

    このBASICはNIBL(National Industrial BASIC Language)と呼ばれており、そのサイズからもわかる通りいわゆるTiny BASICです。扱える数値は16ビットの整数のみです。

  2. NS INS8075
    CPUは上と同じくSC/MP IIIでROM容量は4kBに増えています。

    資料が少なく4kBの容量とN2BASICの名称以外の詳細は不明です。

  3. Zilog Z8671
    Z8ファミリの一員Z8601のROMにBASICとデバッグモニタを格納したものです。

    ROM容量は2kBなのでTiny BASICの一種と思います。やはりRAMは外付けの必要があります。

  4. Intel P8052AH-BASIC
    MCS-51ファミリのP8052AHのマスクROMにBASICを格納したものです。ROMが8k×8bit、RAMは256×8bitを内蔵しており、これ以外に最低1kBの外部RAMが必要です。

    8kBと容量が大きいこともあり、浮動小数点演算をサポートしたかなり本格的なBASICです。

  5. NEC μPD7904G + μPD7905G
    これはBASIC内蔵マイコンというよりポケットコンピュータ用のチップセットと呼んだ方が適している気がします。μPD7905GがCPU、μPD7904Gは16k×8bitのマスクROMでこれにBASICインタプリタが格納されています。キーボードはマトリクスを直接スキャンし、表示はμPD7228G Programmable LCD Controller / Driver 経由で接続します。オプションとしてRTCもサポートしています。他に32kBまでのRAMが必要です。

    ROMサイズは16kBあり、浮動小数点をサポートします。

INS8073, Z8671, P8052AH-BASICはいずれも組み込みの開発をBASICで簡単にしようというコンセプトのようです。40ピンDIPのCPUにSRAMを接続すれば動作します。
一方NECのものは汎用のパソコンを目指しているようで、最小構成でもそれなりの規模になります。QFPのデバイスにLCDパネルと個人が気軽に手を出せるシロモノではありません。

参考文献・関連図書: 
"INS8073 NSC Tiny BASIC Microinterpreter", National Semiconductor.
"NSC Tiny BASIC, User's Manual", National Semiconductor.
藤井淳(1983)「Z8を使ったハンドヘルド・コンピュータの製作(前編)」,『トランジスタ技術』1983年7月号, pp.380-388, CQ出版社.
藤井淳(1983)「Z8を使ったハンドヘルド・コンピュータの製作(後編)」,『トランジスタ技術』1983年8月号, pp.371-382, CQ出版社.
”Z8671 Seven Chip Computer Hardware Application Note", Zilog.
MCS BASIC-52 Manual, Intel.
西野信(1984)「BASICインタープリタを内蔵したuPD7904/05Gの使い方」,『トランジスタ技術』1984年4月号, pp.308-319, CQ出版社.

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