2018-06-29 23:30 — asano
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74LS573と水晶がまだこないのでMC6803の確認はまだ保留ですが、先にM5L2764Kで動かなかった件を考察してみます。
まずは電圧レベルについてです。
ROMの入力についてはCMOS⇒NMOSなので問題ないとは思いますが...
信号 | VOL | VOH | VIL | VIH | ||
---|---|---|---|---|---|---|
A0 ~ A7 | TC74HC573AP | 0.33 | 4.63 | 0.8 | 2.0 | M5L2764K |
A8 ~ A12 | HD63A03RP | 0.55 | 2.4 | 0.8 | 2.0 | M5L2764K |
CE | TC74HCT138AP | 0.36 | 4.59 | 0.8 | 2.0 | M5L2764K |
OE | SN74HC00N | 0.33 | 4.34 | 0.8 | 2.0 | M5L2764K |
これは全温度範囲、VOL,VOHについては最大負荷での値です。74HCについては5Vでの値の記載がなかったので5V相当に換算しています。
これを見ると特に問題はなさそうです。
HD63A03RPのVOHがこんなに低くては74HCではマズいのではと思うかもしれませんが、これはIOH=-200µAでの値なので問題ありません。相手が74HCならIOHはせいぜい-1µA程度なのでVOHは4V以上になります。
ただCMOSとTTLを両方接続すると問題が発生するかもしれません。
次はROMの出力です。
信号 | VOL | VOH | VIL | VIH | ||
---|---|---|---|---|---|---|
D0 ~ D7 | M5L2764K | 0.45 | 2.4 | 0.8 | 2.0 | HD63C03RP |
こちらも問題ありません。
それではアクセスタイムの問題でしょうか。
クロック1.5MHzでMultiplexed Busの場合、HD63A03Rの要求するPeripheral Read Access Time tACCMは395nsです。これはアドレス確定からデータ確定までの時間で、74HC573はTransparent LatchですからASの立下りタイミングを考慮する必要はありません。
CEはアドレス確定から最大28ns(74HCT138の遅延)遅れます。CEからデータ確定までは395 - 28 = 367nsあります。
OEはEの立ち上がりから最大23ns(74HC00の遅延)遅れます。Eの立ち上がりからデータ確定まではPWEH - tDSW = 240nsありますから、OEからアドレス確定まで240 - 23 = 220nsあります。
一方M5L2764KのAC特性から関係部分を抜粋すると以下のようになります。
Symbol | Parameter | Min | Max | Unit |
---|---|---|---|---|
ta(AD) | Address to output delay | 250 | ns | |
ta(CE) | CE to output delay | 250 | ns | |
ta(OE) | Output enable to output delay | 10 | 100 | ns |
これも十分な余裕があることがわかります。実際にはクロックは1.2288MHzなのでさらに余裕ありますね。
これだととてもM5L2764Kの個体差では説明がつきません。この2つのROMはどこが異なっているのでしょう? 謎が深まってしまいました。
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