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パーソナルなコンピュータの補助記憶事情 (第6回:ハードディスク)


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ハードディスクもまた高価な周辺機器でした。

PC-9801(初代)の定価は298,000円でしたが、最初に発売された純正のハードディスクユニットPC-98H31は478,000円もしました。容量は5MBですから、フロッピーディスクの5~15枚分でしかありません。よほどの理由が無ければ(特に個人では)フロッピーディスクの入れ換えで我慢するしかありません。

この頃のPC-9801用のハードディスクはこんな構成になっていました。
本体の拡張スロットにSASI(SCSIの前身)のボードを挿し、ハードディスクユニット(1台目)とはSASIのケーブルで接続します。1台目のユニットはSASI⇔ST-506変換ボード(コントローラ)とドライブ(ST-506)と電源で構成されています。「ST-506」は元々Seagateのドライブの型番でしたが、インターフェイスの名称として広く使われました。このインターフェイスでは複数のドライブを制御可能なので、2台目のユニットを増設可能でした。1台目と2台目のユニット間はSASIではなくST-506で接続するので、2台目のユニットにはコントローラはありません。

2台目のユニットはドライブと電源だけなので、後にドライブのジャンク品が入手できるようになったときには安く増設することができました。

この構成で5MB⇒10MB⇒20MB⇒40MBまで増えましたが、その先は後述のSCSIへ移行しています。

PCの世界ではSASIを経由せず、拡張スロットに直接ST-506のコントローラを挿していました。ドライブを本体に内蔵するならSASIを使う理由があまりありません。(PC-9801シリーズでは互換性のために内蔵ドライブでもSASIを経由していました)

SCSIのハードディスクユニットも当初はSCSI⇔ST-506変換(コントローラ)とST-506ドライブ(と電源)で構成されていました。

ハードディスクではありませんが、ソニーの5.25インチMOドライブが同様の構成でした。厳密にはドライブとの間はST-506ではなく改良版のESDIです。

そのうちに(集積度が上がって)コントローラとドライブが一緒になり、ドライブが直接SCSIを持つようになります。SCSIはその後も周波数の向上やバス幅の拡大が図られ最近まで使われていました。
PC-9801シリーズではSCSIへ移行後、純正SCSIボードのチェックが物議を醸しました。SCSIではドライブのメーカ名が取得できるのですが、これが「NEC」(正確には先頭が「NEC」)でないドライブを認識しないようになっていたのです。サードパーティはチェックの無いSCSIボードを提供したり、ドライブのメーカ名を偽装する機能を搭載したりしました。

PCの拡張スロットに直接コントローラを挿す形式でもコントローラとドライブの一体化が起こりIDEが生まれます。これは安価だったため普及しATAとして規格化されました。その後も速度の向上や大容量化が図られてきました。最近では物理層をシリアル化したSATAに移行しています。

ここまでインターフェイスを中心に見てきましたが、容量はどうなったのでしょう。

上にも書いたようにPC-9801シリーズの最初はオプションで5MB、1982年のことです。PCにもオプションで搭載できたようですが、容量はわかりませんでした。1983年のPC/XTでは10MBのものが搭載されました。

1990年頃から個人的に使うようになりましたが、SASIの中古で40MBやノート用の40MBでした。PC-9801系の主流はSCSI 100MBくらいだったと思います。

1992年に初めてPC系を組み立てた時はIDE 200MBで、すぐに同じものを増設したのを憶えています。

それが今では数TBのものが普通に売っているわけで、35年で1,000,000倍になっていますね。価格も(外付けユニットとドライブ単体の違いはありますが)1/10~1/100程度になっています。


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