2017-03-02 22:57 — asano
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今回のデバイス、昔は単独のICでしたがコントローラに内蔵されるようになり、現在では用途そのものが無くなりつつあります。
これはSED9420C、フロッピーディスク用のデータセパレータのICです。
データセパレータというのはフロッピーディスクドライブから読み出された信号、これはデータとクロックが一緒に記録されているわけですが、そこからデータを取り出す回路です。より正確にはデータの位置(タイミング)を示す信号(WINDOW)を作り出す回路です。この信号を元にFDC (Floppy Disc Controller)はデータを取り出します。
なぜ直接データを取り出さないかというと、FDCはデータ以外にクロックの抜けているところ(Missing Clock)と呼ばれるものを検出する必要があるためで、そのためにクロックの含まれた信号も必要としているからです。
データセパレータの方式にはアナログ方式と呼ばれるものとディジタル方式と呼ばれるものがあり、SED9420Cは前者に当たります。ディジタル方式の方が高性能に思われるかも知れませんが、実際は逆でアナログ方式の方が安定するといわれていました。
アナログ方式では回転変動に追従した安定したクロックが再生できるのですが、フィルタ用のC,Rが必要になります。
一方のディジタル方式(少なくともこのSED9420の時代のもの)はロジックのみで動作するのでC,Rは不要です(もちろんパスコンやプルアップは必要ですよ)。
これは自作データセパレータ基板に使用中のものですね。
単独のデータセパレータICで有名だったのは、EPSONのSED9420やSED9421、富士通のMB4107、あとはFDC9216(WD9216)あたりでしょうか。最後のFDC9216がディジタル方式ですが、残りはアナログ方式ですね。
そのうちにデータセパレータ回路はFDCに内蔵されるようになりました。日立のHD63265やNECのμPD72069、Western DigitalのWD2791,2793,2795,2797などがそうです。これらは全てアナログ方式です。
さらに時代が進むとFDC自体がチップセットの中の機能になってしまい、最近ではフロッピーディスク自体が絶滅危惧種になってしまっていますね。
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