2017-09-07 12:14 — asano
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前回書いた専用モニタの登場で640×200ドットのグラフィックスの実現は目前となりました。残るはメモリ容量とその大容量メモリを書き換えるCPUパワーの問題です。
この頃サードパーティーからグラフィック機能を追加するハードウェアがいろいろと発売されました。
HAL研究所のPCG (Programmable Character Generator)は文字フォントを自由に定義できるようにしたものです。定義できるのは128個までなのでTMS9918のグラフィック2モードのように画面中に並べることはできませんでしたが、ゲームのキャラクタを表示するのに都合よく、対応したソフトウェアも多くありました。
PC-8001用にはFGU-8000/8200というモノクロですが640×200ドットのグラフィックを実現するユニットもありました。
メモリ容量の進歩は早いので解決は時間の問題です。1981年ごろからは富士通のFM-8やNECのPC-8801といった640×200ドットでドット毎に(制約なく)8色が使えるパソコンが発売されます。そしてこれが日本のパソコンの標準的なグラフィックとなり、その後の多くの機種が追従していくことになります。
これに必要なメモリは640×200×3=384,000ビット=約48kBにもなります。これを64kBしかメモリ空間の無いCPUでいかに扱うか苦労した話は「パーソナルなコンピュータのメモリ事情 (第3回: 8ビット中期)」にも書きました。
これだけのグラフィックがあればテキスト表示にも使えます。FM-8やFP-1100といった一部の機種ではテキスト表示用のハードウェアを持たず、テキスト表示もグラフィックとして処理していました。スクロール等が遅いという欠点はあり、当時のCPUパワーを考えないちょっと先走りな面はありましたが、考え方としては現在に通じるものがあります。
時代に逆行するようですが、640×200ドット2色のモードを持っているものありました。3面を切り替えて表示が可能で、描画・スクロール等の書換え量が1/3になって高速化できるというメリットもあったからです。
PC-8801等ではこの2色モード時の色をその場所のテキストの色を使うことができるようになっています。文字単位でしか色を指定できないのですが、ワープロソフトなどの漢字表示には便利でした。16×16ドットの漢字はテキスト2×2文字の領域なのでちょうど良いのです。
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