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パーソナルなコンピュータのプロセッサ事情 (第2回: 8080登場)


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1974年にIntelが発表した8080は、それまでのプログラムを固定して使う組み込み用から汎用コンピュータとしても認識されることになりました。

40ピンDIPのパッケージ、アドレス16ビット・データ8ビット・RD,WR信号を用いる80系バス、割り込み、DMAのためにバスを開放する機能といったその後のマイクロプロセッサで一般化したものの多くが採用されています。

RDは実は8080から出力されておらず、外付け回路で作成する必要があります。後にこの回路は8228/8238 System Controller and Bus Driver for 8080A CPUとしてIC化されました。

エンディアン(2バイトのデータをメモリに置く順番)はリトル(8008もそうです)となっていて、これは現代のx64アーキテクチャまで続いています。

この8080を採用したコンピュータには以下のようなものがありました。

  • Altair 8800
    1974年末にアメリカで発売された個人用のコンピュータです。組み立てキット及び完成品の形で販売されました。標準ではメモリは256バイトのRAMのみで、フロントパネルのスイッチで1バイトずつプログラムを書き込む必要がありました。メモリや各種I/Oは拡張バスに増設するようになっており、このバスは後にS-100バスと呼ばれIEEE696として標準化されることになります。
  • IMSAI 8080
    Altair 8800の互換機でやはりキットと完成品の2通りで販売されました。映画「ウォーゲーム」に登場したのもこれです。
  • NEC TK-80
    1976年に発売されたトレーニングキットです。

また8080用に書かれたOS CP/Mは8ビット時代の標準OSとして普及し、他のプロセッサを採用したコンピュータでもオプションで8080互換プロセッサを搭載可能にしているものがあったほどです。

一方Motorolaも少し遅れてMC6800を発表しました。バスはR/W,E(当時はφ2と呼んでいました)を使う68系バスです。パッケージやバス幅などは8080と同じです。
命令は8080がレジスタ数を多くしたのに対し、6800はメモリアクセスのし易さを重視した設計になっていました。エンディアンはビッグとなっています。

このバスと命令体系・エンディアンの違いは長くユーザ間で、80派・68派という対立軸を生むことになります。

MC6800を採用したコンピュータには次のようなものがありました。

  • Altair 680b
    Altair 8800と同じMITS社が発売したものです。メモリはROMが1kBにRAMが1kBと増えています。
  • 日立 H68/TR
    1977年発売のトレーニングキットです。キーボードと蛍光表示管が電卓型のコンソールに分離しているのが特徴でした。また7セグメントで無理矢理英数字を表示し、ROMにはアセンブラを内蔵していました。
  • 日立 ベーシックマスター
    1978年発売、ROMが8kBにRAMが4kB、フルキーボード(16進テンキーではなく)が付いてTVにグラフィック表示ができるパソコンでした。
    レベル3はMC6800ではなくMC6809を搭載しており互換性はありません。

MC6800用にはFLEXというOSがありましたが、あまり普及していなかったと思います。

MOS Technologyは1975年に6502を発表します。
ハードウェア・ソフトウェアともにMC6800と似て(バスは互換です)いますが、レジスタが簡略されている他、エンディアンは8080と同じリトルになっています。SP(スタックポインタ)も8ビットとなっており、8080でせっかくスタックの制限がなくなったのにまた逆戻りです。マルチタスク化は厳しそうに思えますね。

6502を採用したコンピュータには以下のようなものがありました。

  • Apple II
    なんといってもこれが有名でしょう。ちなみにApple Iも6502です。
  • Commodore PET 2001
    1977年発売、モニタ・カセットレコーダ内蔵の一体型パソコンでした。
  • Commodore VIC-1001
    1981年発売の低価格家庭用パソコン、海外ではVIC-20と呼ばれていました。

また6502をベースに一部命令の削除と機能追加を行なったものがファミリーコンピュータに採用されています。

これら8080・MC6800・6502が8ビット初期の代表的なプロセッサといえるでしょう。

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