現在地

NEC uPD70616


テーマ:

カテゴリー:

これ前から買おうか迷っていたものなんですが、いろいろあって買ってしまいました。


NECのμPD70616R-16、V60といった方が通りがいいかもしれませんね。

1988年製の16MHz版、とはいえ16MHz以外のものは見たことありません。

16ビットのVシリーズはV20, V30がインテルの8088,8086の改良版、V40, V50はそれに周辺デバイスを集積して組み込み向けにしたものでした。他にもV25, V33などの派生品もありますが、いずれも8086上位互換の命令セットでした。

インテルは32ビットの80386でもこの路線のまま命令の拡張を続けましたが、NECは命令互換を捨てて純32ビットプロセッサとして仕切りなおしました。その最初のものがこのV60です。

  • 32ビットの汎用レジスタが32本
  • 32/64ビットの浮動小数点演算命令
  • 4段階の保護レベル
  • ページング方式のMMU
  • ...

かなり強力そうなプロセッサですね。

16ビットのVシリーズとの互換はエミュレーションモードという形で実現しています。V20, V30が8080エミュレーションを持っていたのと似ています。さすがにV60で8080のエミュレーションはできません。

ハードウェア面ではV60はアドレス24ビット・データ16ビットと完全な32ビットとは呼べませんが、次のμPD70632(V70)ではアドレス・データとも32ビットとなっています。


ピンは80286などと同じ11×11タイプの68ピンPGAです。

このピン数なら手配線でもまだ何とかなりそうです。

いっそV70にすればダイナミックバスサイジングあるから8ビットバスでも行けるかな、と一瞬考えたのですがV70のバスサイジングはI/Oサイクルにしか使えないらしい、残念。

さて上で購入を迷っていたと書いたその理由は主に開発ツールです。

目的が「動かしてみたい」ですからCコンパイラやそれ以上のツールはまぁ無くても困りませんが、アセンブラは必要です。このクラスをハンドアセンブルはさすがに避けたいところ。

いざとなればMN1613のように自力でというのもアリですが、アドレッシングモードも多いしかなり大掛かりになりそうです。

そんなことを考えていたときに、Macroassembler ASにNS32000系を追加した作者さんが次はV60を考えているとMLにポロっと書かれたのです。

ならデバイス用意して待っていてもいいかなと。

あとあまり出回っていないのでうかうかしているうちに入手不能になったらという焦りもあってポチってしまいました。

最後にこのV60、クロックジェネレータとシステムコントローラが外付けという面倒な性質を8080→8086→V30から受け継いでしまっています。次回はそちらを書こうと思っています。

参考文献・関連図書: 
南宗宏(1986)『32ビットマイクロプロセッサ入門』CQ出版社.
μPD70616(V60)データシート, NEC Electronics.
μPD70632(V70)データシート, NEC Electronics.

コメントを追加

Plain text

  • HTMLタグは利用できません。
  • ウェブページアドレスとメールアドレスは、自動的にハイパーリンクに変換されます。
  • 行と段落は自動的に折り返されます。
※ コメントは原則公開です。個別のご相談などは「ご意見・ご要望」からお願いします。