2017-04-16 22:38 — asano
今回のものは少し風変わりなプロセッサです。
これはHarrisのCDP1802ACE、COSMAC (Complementary Symmetry Monolithic Array Computer)と呼ばれていたプロセッサです。本来COSMACはアーキテクチャの名称でしたが、プロセッサ自体もそう呼ばれました。
元はRCAによって1970年代半ばに開発されました。その後RCAはGEに吸収され、1988年にGEの半導体部門はHarrisに移ります。これはその時のもののようです。さらに1999年にはIntersilの名前で独立します。驚くことにCDP1802は現在でもIntersilの現行品です。
Z80 CPUなども息の長いプロセッサですが、元の形態で残っているわけではなくIPコアになったり周辺デバイスを複合したプロセッサとして残っています。一方このCDP1802は40ピンDIPのまま今でも残っています。
現在Intersilが出荷しているのはミリタリ仕様(動作温度が-55°C~+125°C)のみのようです。
これだけでは何ですので特徴的なことを挙げてみます。
- pMOS,NMOSを経ることなく最初からCMOSで開発されています。世界初のCMOSプロセッサらしいです。
- CMOSであることに関連して、電源電圧範囲が広くなっています。他社のペリフェラルと一緒に使うなら5V、遅くても良いから消費電力を減らしたならもっと低電圧にといったことが可能です。
- クロックも下限は無いので必要な速度と消費電力を考えて自由に選択可能です。これは他のプロセッサでもCMOS化でできるようになったものもあります。
- ソフトウェアでもサブルーチンのCALL, RETに相当する命令がありません。もちろん相当する動作は可能です。そのためにSCRT (Standard CALL and RETURN Technique)という定石のようなものがあったようです。
- ブランチ命令も相対アドレスではなく下位8ビットに代入する方式なので、常にアドレスを意識していないといけません。
- 専用のPC (プログラムカウンタ)を持たず、16本ある汎用レジスタのどれかをPCとして使用します。インデックスレジスタも同様に16本の中から1つを選んで使われます。
いろいろ書きましたが、実際に使ったことは無いので単なる受け売りです。でもせっかくデバイスもあるのでいつか動かしてみたいですね。
2020年12月16日 訂正:
Z80は原型のまま残っているわけではないと書きましたが、残っていないのはNMOS品で、CMOS化されたZ84C00はいまだに現行品です。40ピンDIPも残っています。
参考文献・関連図書:
CDP1802AC/3データシート, Intersil.
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