2017-11-01 21:38 — asano
カテゴリー:
これはディレイライン、ディジタル信号を遅延させる素子です。
東光の101RET5008L-2というもので、データシートによると最大で5nsの遅延が得られるようです。
残念ながら型番の命名方法は記載されていませんが、「101」はインピーダンスが10×101Ωであることを、「RET」はシリーズ名、「5008」は遅延時間が500×10-8msを表しているのではないかと思います。「101」のような表し方はコンデンサの容量や抵抗のカラーコードに使われているのと同じ考え方ですね。
こんな5nsなんて短時間のディレイ、何に使おうとしたのでしょう?
これが100~150ns程度だと昔のDRAMの制御回路によく使われていました。
現在のDRAMはSDRAM(Synchronous DRAM)なのでクロック同期に決まっていますが、昔のDRAMにクロックはありません。RAS, CASのタイミングを作るのにディレイラインを使うことも多かったのです。
- CPUクロックも4MHz程度なのでDRAMのためだけに高いクロックが必要(4MHzだと250ns単位になり遅すぎ)
- 汎用ロジックで組んでいるので同期にすると複雑になってしまう
これはアマチュアだけでなくメーカ製でもそうでした。例えばPC-9801用メモリボードにも「DL701」というのが使われています。PC-9801本体にも使われていたようです。
パソコン以外だと(アナログ)カラーテレビのくし型フィルタとか、オシロスコープにも使われていましたね。昔のオシロスコープには同軸ケーブルがとぐろを巻いて入っていました。
参考文献・関連図書:
壁谷正洋・桒野雅彦(1983)『PC-9801システム解析別冊 PC-9801全回路図』アスキー.
RET Type パッシブディレイライン データシート, 東光.
関連項目:
コメントを追加