2017-10-31 14:14 — asano
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これまでさまざまなプロセッサを見てきましたが、本来と異なるプロセッサを使う試みも多くありました。
さまざまな目的・形態の製品が発売され、また個人で製作されることもあったのです。
まず目的から見てみましょう。
- 性能向上のため
一番わかりやすい目的がこれでしょう。高速化のためやFPU, MMUなどの機能を追加するために行なわれました。原則として同一アーキテクチャのプロセッサが用いられます。- Intel 80487
FPUの無い80486SX搭載した機種に用意されたソケットに装着します。80387までと異なり元からの80486SXは機能停止し、乗っ取る形になります。 - Intel ODP (Over Drive Processor)
80487同様にソケットに装着します。やはり乗っ取る形になります。
- Intel 80487
- 異なるアーキテクチャを使うため
特定のOSを実行するためや、発売されたばかりのプロセッサを使ってみたい、マイコンの開発用にしたい等のためです。
外から見える形態(物理的な接続方法)でも分類できます。
- 拡張スロットに挿入する
取り付けは簡単ですが、CPUの乗っ取りは難しい(もちろん機種・バスによりますが)ので用途を選びます。- NEC PC-UX/V(Rel 2.0)(V60)
これはソフトウェアPC-UX(UNIX)がメインなのですが、V60プロセッサ搭載のボードが付属していました。 - KSBシリーズ
前述のKSB-2を含むKSBシリーズはこの拡張スロットタイプでした。
- NEC PC-UX/V(Rel 2.0)(V60)
- 専用スロットに挿入する
最初からCPU搭載用に設計されたスロットを使用します。ただFM-7,FM-77くらいしか実例を知りません。- 富士通 MB28021 Z80カード
FM-7, FM-77にはこのZ80カード専用のスロットが用意されていました。目的はもちろんCP/M実行のためです。 - HD63C09ボード
高速化のためのものです。Z80ボードは起動時有効にならない(ROMには6809のコードが入っているから)のですが、これは起動時から有効にできるよう工夫されていたはずです。
似たようなもので最初からCPU部分が独立したボードになっているものもあり、CPUボードを交換することで異なるプロセッサを使用することが可能になります。VMEバス等の産業用では一般的ですが、パーソナル用途では多くありません。
- Altair 8800
元々は8080を搭載していましたが、ボード交換でZ80を載せるといったことが行われました。 - ASUS P/I-P65UP5, P/I-P65UP8
CPUサブボードを交換することでSocket 7, Socket 8, Slot1のプロセッサに対応できました。
- 富士通 MB28021 Z80カード
- CPUをソケットから抜いてそのソケットに装着する
原則としてCPUを乗っ取る形になるので同アーキテクチャのプロセッサに限定されます。- CPUゲタ
元のプロセッサと電気的・機械的互換性の無いプロセッサを使うための変換基板、新しいプロセッサの下に取り付けることからこの名があります。主に80486時代からPentium初期にかけて使われました。 - 040turbo
X68030にMC68040を搭載するボードで、上記CPUゲタの一種といえます。個人によって設計されましたが、後に商品化もされました。
X68000/X68030界隈にはこの手のものが多くありました。 - シャープ MZ-1M01 16ビットボード
MZ-2000シリーズ(Z80)でMS-DOSを動かすための8088ボードです。CPUソケットを利用しますが、CPUを乗っ取るのではなく独自のメモリ空間等を持っています。Z80はI/Oサブプロセッサとして動作します。
- CPUゲタ
- 専用ソケットに装着する
- 前述の80487, ODPなど
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