2018-04-03 23:15 — asano
第4回目はコンピュータ関係です。そもそもここに行った最大の目的は「MUSASINO-1B」を見るためでした。
これが「MUSASINO-1B」、電電公社の電気通信研究所が1960年に作った計算機です。論理素子には日本独自のパラメトロンが使用されました。
パラメトロンは論理素子が真空管からトランジスタに移行している頃に日本で開発され、日本以外では全くといっていいほど使われなかった論理素子で以下のような特徴がありました。
- リレーよりは高速で動作し、機械的可動部分が無いので静粛。
- 真空管より安価で長寿命。
- 初期のトランジスタより安価で安定している。
- フェライトコアにコイルを巻くだけなので製造が容易。
- 他のほとんどの素子が電圧あるいは電流の大小で論理を表すのに対し、交流の位相で論理を表す。
- 基本素子は多数決回路である。
- 入力と出力の区別がなく、信号が逆流しないように工夫が必要。
トランジスタの価格が下がり安定してくるとメリットがなくなりトランジスタに取って代わられました。
本機は1967年頃まで使われたそうです。
上部のアップです。
パラメトロンを動作させるためには交流を加える必要があります。上側は「非定常励振器」とあるのでこの交流の発振器と思います。白いのは真空管のソケットです。折れ曲がった針金のようなものが付いていますが、真空管が抜け落ちないための押さえです。
これは船舶電話機ですが、「押さえ」がよくわかるので写真を載せておきます。右側の真空管に引っ掛けてあるのがわかるでしょう。
これは1969年開発の磁気ドラム記憶装置、容量はこれで4.62MBとのことです。写真ではサイズがよくわからないと思いますが、直径が30cmくらいだったでしょうか。
フローチャート等で記憶装置やデータベースを円筒の記号で表すのはこれの図式化です。
こんな端末もありました。
ディスプレイ横にあるフロッピーディスクドライブはNEC製のFD1165のようです。こういう見慣れたものが展示されていると思わずニヤニヤしてしまいます。
右側の「オンライン手書き入力装置」は現在のペンタブレットと同じようなものですが、ペンはコードで繋がっています。わずらわしいと思うかもしれませんが、専用ペン以外で触れても反応しないので手首を置いて操作できます。
手描き入力以外に仮想キーボードのように入力が可能で、そのための印刷シートが貼ってありますね。今では日本語入力は読みを変換するのが一般的ですが、このようなタブレットに漢字一覧があってペンで選ぶシステムもありました。
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