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TI TL7700


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最近では大物の出土は滅多にありません。今回のも超小物ですね。

TL7700CP
Texas InstrumentsのTL7700CP、電源監視回路いわゆるリセットICです。

「J345A」がデートコードなのですが年が1桁なので1983年なのか1993年なのか不明です。さすがに1973年ということは無いはずですが、2013年というのは可能性あるのかな。

トランジスタ技術1983年6月号に『電源電圧監視用IC TL7700シリーズ』という記事がありました。確認したら今でも製造販売されているので息の長いデバイスですね。

プライベートではこの手のICは使わずにC,R,Dで済ませてしまうことが多かったですが、なぜか持っていたようです。

かすかな記憶では正負両論理の出力があったようなのですが、データシートを確認すると負論理のみでした。念のためトラ技の記事を確認すると記憶の通り正負の出力があります。

どういうこと?

種明かしをすると記事では「TL7700シリーズ」としてTL7702, TL7705, TL7709, TL7712, TL7715について書かれていたのでした。これらは確かに正負両出力があります。データシート上も「TL77xxA」(A付きしか見つけられませんでした)となっています。

一方、TL7700は別物でこちらは負論理出力のみです。ピン配置も単に正論理出力がNCになっているわけではなく、大きく異なっているので要注意です。

TL7700シリーズにTL7700が含まれないなんでなんとややこしいのでしょう。

ちなみにTL7700もTL7700シリーズも8ピンなのでリセットのためだけに使うのはちょっと大げさかもしれません。

参考文献・関連図書: 
TL7700データシート, SLVS220G, Texas Instruments.
TL7702A,TL7705A,TL7709A,TL7712A,TL7715Aデータシート, SLVS028K, Texas Instruments.

コメント

TL7702/05/09/12/15はTIドイツで設計開発された製品だったが、初期設計時のバグで検出電圧のヒステリシス幅の温特が不安定(高温になるとヒステリシス幅がむやみに広がり、正常なリセット動作が出来なくなる)という問題が発見されたため、改訂版として「A」バージョンを量産リリースした。一方TL7700は日本TIによる純国産設計・製造製品であり、従来のTL77xxシリーズを更にローパワー・高耐圧化・アジャスタブルにした製品で、量産リリースは1983年である。従来のTL77xxシリーズが汎用バイポーラプロセスで耐圧が18V程度だったのに対し、TL7700ではBipolar+DMOSプロセスを採用し、耐圧も60V以上あった。

詳細な経緯ありがとうございます。
それでTL77xxのA無しの情報があまり無いのですね。それにしても紛らわしいのは既存の部品群を代表するような型番を単品につけたTIの命名なのか、TL7700が存在するのにTL7702/05/09/12/15をまとめて「TL7700シリーズ」としたトラ技のタイトルなのか。同じ1983年なのでTL7700の存在を知らずにタイトルが決まった可能性もありますね。

ご指摘の通り紛らわしい命名でした。当時の日本国内ではuPを含めたロジック回路の電源電圧は、5Vが主流であり、MC4000シリーズや74HCなどの3Vから動作するCMOSロジックICはまだ普遍化していませんでした。オリジナル製品開発国のドイツでは、アナログ回路の電源電圧監視も意識して検出電圧をいくつかオプションとしてシリーズ化し、まとめて「TL7700シリーズ」と命名したようです。日本国内へ導入後に、5V版しか量産需要が見当たらなかった事と、よりローパワー・高精度の要求に加え、
システムメーカーによってどの電圧値でリセット信号を出す(あるいは解除する)かが、まちまちだったため、検出電圧可変型の方が多数の要求にこたえられるという認識で開発されたのが「日本版TL7700」でした。

ちなみに写真の製品は1983年の第45週製造(=1983年11月上旬)のものですね。大分県の日出工場でチップ製造・組立・検査の一貫生産してました。

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