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4000シリーズ


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このところ汎用ロジックを取り上げることが多いですが、今回もCMOS汎用ロジックICです。

4000シリーズ
最近では存在感が失われつつありますが一部品種は今でも現行品な4000シリーズCMOS汎用ロジックICです。

このシリーズは低消費電力なこと以外に、電源電圧範囲が3V~18V(メーカによっては20V)と広く乾電池電源を安定化せずにそのまま使えるため工作の入門用に広く使われました。今でも「高電圧ロジック」などと呼ばれて残っています。

一方で遅延が大きく高速回路には使いづらかったのでマイコン回路などでは出番は少なくなりました。

後に高速化されたときはCMOSの高速化というより、74シリーズTTLの低消費電力化という意味合いが強かったからかこの4000シリーズの番号体系ではなく74シリーズのものが使われました。ただ多入力NORゲートや多段のリプルカウンタ・アナログスイッチなど74シリーズには無いものも結構あり、74HC4xxxの型番で引き継がれているものもあります。

左端の目立つ600milのものはNECのμPD4508BC、厳密には4500シリーズと呼んだほうが良いのかもしれませんが4000シリーズと区別する必要はあまり無いと思われます。機能は Dual 4-Bit Latch でトランスペアレントですから74シリーズでいうところの373あたりに近いですね。4ビットずつ独立していることと、リセット入力があることから24ピンとなり大きな600milパッケージとなっています。74シリーズでも154とか181とかが同様に600milパッケージになっています。
なぜ300milの24ピンパッケージしなかったのかはわかりませんが、当時技術的に難しかったのか、標準的なパッケージを採用したのか、といったところではないかと思いますね。

D4508Cの右上はμPD4023BD-T、Triple 3-Input NAND Gates です。これは機能よりパッケージがCERDIPなのが珍しいです。

その右はTC4049BP、Hex Buffer/Converter (Inverting type) というもので、入力に電源電圧より高い電圧を加えても良いというものです。レベル変換用に便利ですが、ピン配置が独特なので要注意です。
NECのμPD4xxxは過去のものですが、これはまだ現役のようです。

左下に行くとμPD4011BC Quad 2-Input NAND Gate、4011はとてもポピュラーな番号でした。

最後はCD4016BE Quad Bilateral Switch、いわゆるアナログスイッチです。ON抵抗を減らした改良版の4066の方が有名で74HC4066として74HCシリーズに取り込まれています。

今では通常のロジック回路なら4000シリーズが必要になることはあまりありません。でも上の4049のように5Vを越える電圧が関わる場合には代わりになるデバイスはあまりないので、まだまだ残っていくのでしょう。


コメント

アナログ回路屋です.

4000シリーズCMOSはアナログ回路と大変相性が良いので、よく使います.
耐圧が高く、±5Vや±8Vといった両電源回路でも使えるし、アナログ・マルチプレクサの4051/52/53は正極性のロジック信号で±のアナログ信号を制御できるし、スイッチング速度が適度に遅いのでスイッチングノイズが出にくいし、リーク電流は小さいし、値段は安いし、供給も安定していると良いことづくめです.

加算器など演算回路やレジスタファイルなど高機能のICは製造中止品が多いですけど、アナログ回路で使うアナログスイッチや単純なゲートICは製造メーカーも多く、Rohmのように比較的最近に製造を始めたメーカーもあり、当分は安定な供給が期待できると思います.

4000シリーズCMOSとOPアンプのLM324/358、コンパレータのLM393/339あたりを組み合わせてなんとか回路を構成するのがコストダウン設計の味噌ですが、飛車角落ちで将棋を指すような感じでビギナーには難しいかも.

はい、今でも需要があることはわかっています。
ただ純粋なロジック回路ではあまり使わないなぁとこの記事は書きました。

私も学生時代にはTL071と4066を組み合わせてスイッチとキャパシタの実験をしていました。
たしか±8Vくらいの正負電源でした。

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